納得と説得〜プレゼンで目指すものは?

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こんにちわ。プレゼンにおける納得と説得はどちらが重要でしょうか?納得も説得も立場によって言い方が変わるものですが、プレゼンでは、どちらを目指していますか?今回は、プレゼンによって聴衆が納得するか説得させられるかの違いを詳しく見てみましょう。一部ストーリータッチで記述していきますが、登場する人物は、架空の人物です。

納得とは?説得とは?

−夏の賞与が手に入った。田口は新しいパソコンを買いに行こうと、以前から考えていた。田口はコンサルティング会社に勤める入社5年目の中堅コンサルタントだ。顧客からの満足度も高かったが、たまに提案することが納得できない顧客もいた。 「新しいパソコンはどれにしようかな?」御目当てにしているパソコンはMicrosoft SarfaceBookかMacbookだ。どちらも田口の仕事に使うスペックは備えている。どちらも捨てがたく、田口は家電量販店の店員の話を聞いて決めようと考えた。 持っているiPhoneで家電量販店を検索し、近くの店舗に出向くことにした。

さて、この登場人物「田口」は、このコラムの読者にも多いと思われるコンサルタントです。上記ストーリーを実体験した方もおられるかと思います。田口がどのようなコンサルタントか、イメージしてお読みください。

−「いらっしゃいませ!」 家電量販店に来た田口は、パソコンを販売しているフロアへ向かった。まずはSarfaceを見に向かった。 「なるほど、画面は12インチくらいで、タッチパネルが使える。キーボードも付いていて、キーボードを使わなければタブレットとしても使えるわけか。顧客にもMicrosoft Officeを使っている人が多いし、Surfaceは仕事にも使えそうなスペックだなぁ」 次にMacbookを見に行く田口。 「Macbookは、値段が15万ぐらいか。Surfacebookは20万ぐらいだったから、値段的にはMacbookの方が嬉しいな。重さはMacbookが1キロないくらいで、Surfacebookは1.5キロくらいか。さすがApple製品はデバイスのデザインがかっこいいな。」 ますます田口は悩んでしまった。

ここで二台のPCについて、整理しておきます。 Surfacebook

  • 価格20万円ほど
  • 重さ1.5kg
  • Officeを使うには適している
  • タッチパネル搭載

Macbook

  • 価格15万円ほど
  • 重さ1kg
  • デザインは気に入っている
  • 田口は普段iPhoneを使っている

悩んでも決めきれない田口は店員にアドバイスを求めます。続きを見てみましょう。

− 田口「あのーすみません。仕事で使うパソコンを新しくしようと考えていますが、相談にのっていただけませんか?」 店員「もちろんでございます!どのようなことにお悩みでしょうか?」 田口「MacbookとSurfacebookで迷っているんですが、どっちがいいのかと聞きたいのです。」

さて、店員は田口に「納得」するように提案するか「説得」するように提案するかどちらが良いでしょう。 ここで、二つの言葉が意味するところを考えてみましょう。

「納得」v.s.「説得」

辞書の意味としては「他人の考えや行動などを十分に理解して得心すること。」です。納得も説得もに文字目の「得」が意味するところは「得心」です。 納得という言葉を使われるケースは、この言葉の発言者が「自発的に得心する」場合に使われます。 一方で、「説得」とういう言葉のユースケースはどうでしょうか?主語はプレゼンターの方におかれます。聴衆側は「説得される」という受動的な使われ方をします。 目指すべきは「納得」です。「説得」はむしろ、提案を遠ざけてしまいます。意思決定は聴衆自身にさせるように提案すると良いでしょう。そこで、店員が納得を目指した説明をする場合と、説得する説明をした場合を見てみましょう。 27ccf5c5-184f-4378-a13f-721be6f7f680 (出典:https://compass-ssl.surface.com/assets/27/cc/27ccf5c5-184f-4378-a13f-721be6f7f680.jpg?n=Surface_Book_Thumbnail.1920.jpg

−説得のパターン(WindowsPCが置いてある店員Aに話しを聞く) 店員A「お仕事に使われるようですが、Officeソフトを使うのであれば、Surfacebookをお買い求めになる方がいいですね。MacbookはOfficeソフトを入れなければなりませんし、価格は安いですが、スペックはSurfacebookの方が高いですし、タブレットにもなります。お客様にとっておはSurfacebookの方がよろしいでしょうね。」 田口「そうですか。iPhoneも使っていますし、Macbookも良さそうだなと思っていましたがどうですか?」 店員A「それはSurfaceの方でも、最近ではクラウドという技術が進歩していますので問題ありません。」

ここで、説得するようにされたプレゼンは居心地の悪さを感じます。その提案を受けなければ、田口は店員に従わないことになりますし、従わなかった結果「賢くない客」という評価を店員がしてきそうだという想像までできてしまいます。 macbook-select-gold-201604 (出典:http://store.storeimages.cdn-apple.com/4973/as-images.apple.com/is/image/AppleInc/aos/published/images/m/ac/macbook/select/macbook-select-gold-201604?wid=1200&hei=630&fmt=jpeg&qlt=95&op_sharpen=0&resMode=bicub&op_usm=0.5,0.5,0,0&iccEmbed=0&layer=comp&.v=VmqkF1

−納得のパターン(Macが置いてあるコーナーの店員Bに話しを聞いた場合) 店員B「PCは普段どのようにお使いでしょうか?スペックはSurfacebookの方が高いですが、お客様のご予算の都合などもお聞きかせください!」 田口「そうですね…。仕事上結構出先で使うことが多いので、軽いものの方が嬉しいですね。重さはこの二台で比較していかがですか?」 店員B「SurfaceBookは、1.5キロほど、Macbookは1キロ弱ですね。軽いのはMacbookの方です。」 田口「なるほど。Officeソフトを使うケースも多いのですが、MacとWindowsではどう違いますか?」 店員B「現在では、Mac用のOfficeアプリも出ていますし、実はオンラインでWeb上で使うこともできます。ただし、MacからWindowsにファイルを送信するときに、たまに文字化けすることがあるようです。」 田口「そうなんですね。普段はWindowsPCを使っているのですが、Macは使いやすいですか?」 店員B「お客様はiPhoneをお使いのようですね?一部ショートカットキーなどはWindowsとMacで異なりますが、使用感は通常のキーボードの扱いと、iPhoneを使うときのような指での操作がトラックパッドというものでできます。操作に慣れるまで苦労したという話はあまり聞きませんよ。」 田口はMacbookを買うことに決めた。操作感やOfficeに関して心配があったが、デザインも好みだし、心配事も払拭できた。

さて、納得のパターンでは、どちらがいいかということは最後まで店員から言われていません。あくまで、意思決定をするのは田口です。自分で選んだ納得感は、説得された場合よりも、高いという経験も皆様あるでしょう。 このように、最終意思決定は、聴衆(田口)にさせたほうが「納得感」が高まります。説得させる場合は、ある種の反発感を生じさせます。

−田口は納得してMacbookを買うことにした。これで、これからの仕事もバリバリやるぞ!と意欲を出した。 「あれ?」ふと気づいた。もしかして、以前提案したクライアントが提案を受け入れてくれなかったのは、納得感が足りなかったんじゃないか?そういえば、あの時は、説得する感じでプレゼンしていた。 田口は、説得という言葉が聴衆にストレスをもたらすものだと気づいた。「説得」というからには、聞き手の気持ちは初めに逆を向いているのだ。これを「納得」に変えるのは、提案内容の正しさではなく、相手に意思決定をさせることなんだな。 以前うまくいったプレゼンでは、資料作成の時に不明点も多かったが、提案するよりも問いかけをするものの方が多かった。よくよく考えると、スティーブジョブズのプレゼンも、「うちの製品いいだろ?この製品使うと、こういう未来が待ってるんだぞ」というものばかりだ。こうしろと強要するようなことは全くない。資料作成も今度からは、結論は聴衆が決定できるような誘導するタイプのものを作成しよう。 当初新しいパソコンを買いに行っただけの田口だったが、パソコン以外にも、良い気づきを得られたようだった。

北風と太陽

o0400021813113334087 (出典:http://stat.ameba.jp/user_images/20141029/23/sumumu/94/13/j/o0400021813113334087.jpg) 北風と太陽はイソップ寓話の中でも有名なものですが、今回の話で言えば、説得は北風であり、納得は太陽です。 あくまで意思決定は、聴衆にさせるように誘導する資料作成・プレゼンテーションを目指しましよう。  


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