今回はプレゼンの極意、資料作成を配信いたします。 今までの記事で、プレゼンの心構えと、ジョブズのプレゼンがいかに有効だったかがわかってきました。 ポイントは、聴衆に伝わることが重要で、そのためにはシンプルな言い回し、資料が必要だということでした。 詳しくは前回、前々回の記事をお読みいただければと思います。
タイポグラフィとは、平たく言って文字に関する修飾です。大きさ、フォント、文字幅、行間など、タイポグラフィと一言で言っても、扱う要素は多いのです。 効果的なタイポグラフィは、メッセージを届けやすくし、逆に不自然なタイポグラフィはノイズになります。
伝えるためのプレゼンです。いかに内容が素晴らしくとも、文字が小さくて見えづければ、聴衆には伝わりません。プレゼンの会場などが事前にわかれば、実際にどんなサイズに表示されるのか、事前にチェックしましょう。
フォントはヒゲのついたセリフ体とヒゲのついていないサンセリフ体に大別されます。セリフ体は、明朝体やCenturyに代表されるような、いわゆるドキュメントで使用されることの多い書体です。サンセリフは、ゴシック体やHelvetica、Arielなどがそうです。プレゼンにおける視認性・可読性はサンセリフ体の方がいいと言われています。もちろん個別の書体によって良し悪しの判断は揺れますが、基本的にはサンセリフ体を選ぶようにしましょう。
全てを大文字化すると、その単語を認識するのに、時間がかかります。APPLEよりもAppleの方が、読みやすいでしょう。一単語だけ全て大文字化する場合は、他に狙う効果がある場合はいいです。センテンスになる場合は、聴衆は全てキャピタライズされた英単語は読みづらいと感じるでしょう。
広い行間、開きすぎた文字幅、無駄な改行はそれが一文なのか、箇条書きなのか分かりにくくなります。以下の一例を見てみましょう。 ・どんなことをしてでも目標を達する ・無責任な会社ではいけない。 という2文と、 ・どんなことをしてでも目標を達する無責任な会社ではいけない。 では意味が変わってきますし、聴衆がどちらの解釈が正しいのか、考える必要があります。プレゼンはノータイムで正しい意味で聴衆が理解出来ることを目指しましょう。
プレゼンテーションにおいて、色を使うことは、効果的です。しかし、思った以上に色を使うことは難しいのです。色を使いすぎれば、聴衆はどこに注目すれば良いか分からず、また、使わなければ、どこが強調されているのかわかりません。
ごちゃごちゃした色、一貫していない色使いなどは、聴衆を迷子にします。ワンポイント的に使うことや、調和のとれた単色相によるデザインで、聴衆を導くように設計しましょう。
色の要素には、明度、彩度、色相というものが存在します。例えば、グラフをプレゼンに入れる際、赤をキーカラーとして選んだ場合、赤、暗い赤、明るい赤などで装飾すると、全体として調和がとれたグラフになります。
色が聴衆の感情に何を訴えるのかを、列挙します。(プラス面)/(マイナス面)という表記にします。
積極的、力強さ、情熱 / 危険、停止など(血を思い浮かばせることもある)
品位、プロフェッショナル / 憂鬱
バランス、調和、平穏 / 嫉妬
陽気、楽観的 / 警戒
高級、フォーマル、シンプル / 死、喪失、恐怖
純粋、清潔、シンプル / 面白みがない、平凡 などのイメージを与えます。 効果的に使えると情報の伝達がうまくいきます。 上記の各要素を考慮したプレゼン資料にすることで、圧倒的にクオリティを高められ、情報も伝わりやすいデザインになります。副次的には、見た目にも、カッコよく、スタイリッシュで見栄えのするデザインになることも期待できます。
ビジネスの場では、プレゼンする際に、グラフや表をプレゼン資料を盛り込むことが多いでしょう。表は少ないカラムで、かつテキストが○や×などの簡易的なもの以外は、補足資料としてドキュメントにまとめましょう。プレゼン資料では、グラフを使うことの方が圧倒的に情報が伝えやすいです。 そこで、グラフとひとえに行っても、様々なグラフがありますので、各グラフとそのユースケースを見ていきましょう。
これはシェアや全体のうちの内訳などを表す際に、よく使用されるグラフです。ちなみに、画像のように、画像を利用したグラフをピクチャグラフといいます。見た目にもインパクトがあり、さらに、どういう内訳なのか、直感的にわかる利点があります。(Carbsの単語の意味を知らなくても、炭水化物を意味することがわかると思います。) 円グラフは使いどころを間違えると、メッセージが伝わりにくくなります。
という点に気をつけましょう。 角度判別より、長さ判別の方が視覚的には捉えやすいので、帯グラフでシェアを表すことも検討してみましょう。 こちらの方が、内訳比較がしやすいはずです。円グラフと帯グラフの使い分けは、メッセージのストーリーで決めるようにしましょう。
多くの方が使ったことのあるグラフではないでしょうか。これは、「背比べ」のグラフです。つまり、何かと何かの数値を比較するときに使います。 余談ですが、この画像のように、全て違う配色にすることはお勧めできません。聞き手がどこに注目すればいいかが、わからないからです。例えば、一番左の棒だけ明るい赤にし、他は暗めの赤にした棒グラフを想像してみてください。明らかに、聞き手の視線を左の棒に集中させることができるでしょう。
散布図はデータの傾向や相関関係を示すのに有効です。 傾向を見るためのグラフですから、データのサンプル数もある程度多くないと、傾向の精度が下がります。
これも差を表すグラフですが、厳密にいうと変化を表すグラフです。さらに、折れ線グラフは「つながっている」ことが見て取れます。ですので、基本的には、A社とB社のような二者の比較を表す場合は、棒グラフを、株価のような単体の比較(変化)を表す場合は折れ線グラフを使いましょう。
スライド資料が機能的なデザインを持ち、伝わるデザインにするためには、余白を効果的に使うことが重要です。余白は、何かの要素をスライド資料に入れた瞬間に生じるものですが、要素の配置と「余白の配置」はどちらも同程度、意識されるべきものです。
文字だけでも余白の効果はあらわれます。以下の文字列を見てみましょう
AB C DEF
文字の情報としてはA~Fまでアルファベットが書いてあるだけですが、余白が配置されるだけで、AとBは同じグループ、Cで一つのグループ、DEFで一つのグループというふうに見えてきます。余白を入れることで、このように「関係性」を表すことができます。
先ほどと同じ例を見てみましょう。
AB C DEF
このように、ABグループとC間のスペース、CとDEF間のスペースが異なる距離である場合、この距離によって、何らかの意図が伝えられます。次の例を見てみましょう。
興味:[理系] 私 [文系]
と書いてあったら、何となく、「私」の興味が文系よりも理系寄りだということがわかるでしょう。文字列だけでもこのような効果が見て取れますので、ヴィジュアルを使えばさらに余白の意味が効果的に生きてきます。
余白について、考え直してみましょう。余白は要素に対して、オフ/休みという認識をしておくといいと思います。よく音楽では「休符が音を引き立たせる」と言われます。余白は、要素を引き立たせるものです。要素ばかりが詰め込まれたスライド資料は、単調なやかましい音楽と似ています。 音楽にたとえましたが、ドラマティックな楽曲というのは、概して抑揚の効果が大きいです。スライド資料でいうと、「コントラスト」がこれに当たります。配色のコントラスト、明度のコントラスト、そして究極的には要素の有無というオンオフのコントラストが余白で作れます。 確かに、情報を詰め込めば、情報に漏れがなく、「文句の言われない」スライド資料を作ることは可能です(見にくいことには文句を言われるかもしれませんが)。余白を大きく取るスライド資料を作ることは勇気がいると思います。
スライド資料をドキュメント的に書く「スライデュメント」はやめましょう。文字を多く使うスライド資料は、ドキュメントにまとめた方が、読む側も、説明する側も慣れていますので、こちらの方が効果的です。スライドはあくまで伝えるためのコミュニケーションツールです。典型的で歴史的なスライド資料を作成することはそろそろ卒業しましょう。 幸いなことに、私たちがプレゼン資料を作ったり、発表の仕方を学んだりする機会は多く見つけられます。
などはとても勉強になる情報を得られます。 ぜひ、プレゼンを学びたい方は、調べてみてください!