プレゼンの極意【プレゼンは難しい】

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今まで3回にわたって、プレゼンの極意各編を連載してきました。 さて、ここからは現場でのプレゼンについて考えてみましょう。

プレゼンは頑張るべき仕事

whiteboard-man-presentation-write-display-explain-3 なんともとりとめもないセクションタイトルですが、プレゼンは頑張るべき仕事です。これは心構えとしてもそうですが、この意味をしっかり考えましょう。

新しいことを学ぶには「学習コスト」が必要

bible-study-read-learn-know-books-wind-pages まず、プレゼンをするということは、提案をするということです。当たり前ですよね。プレゼンの聴講者が知っていることをわざわざ時間をとってプレゼンすることは無意味です。提案する以上は、聴衆にとって新しいことを伝えなければなりません。 例えば、Appleの製品発表イベントで、 「これが新しいiPhoneだ。とは言っても機能は前モデルと何も変わらない。」と言われた上で、前モデルの機能を話されたのでは、聴衆にとっては退屈で、発表者にはブーイングの嵐でしょう。 聴衆は、新しい情報を提案されたいのです。 しかし、人間は新しいことを理解するには、いくらか困難があります。以前から知っていることの方が、理解しているわけですから、そちらの方が、学習コストがなく、理解に労力を使わなくていいのです。 提案するということは、新しいことを学習してもらうわけですから、「難しい」ことなのです。プレゼンする提案内容を通すことは「難しい」ことなのだと認識してください。

「難しい」ことを理解してもらうためには

magic-cube-232276_640 以上の通り、新しいことを学習するには、学習コストがかかります。相手が理解するためには、難しい言葉を並べ立てるのではなく、平易な言葉で理解されるプレゼンを心がけるべきです。横文字を多用したり、平易でない熟語は使用を避けるべきです。相手にとって難しいことを要求しているわけですから、伝えるべき言葉も難しいのであれば、理解されるのはさらにそのあとの話です。 これでは、いかに優れた内容といえど、提案は通りません。提案を通すためには、相手が納得しやすい裏付けデータや、プレゼンテーションの資料を作る必要があります。 そうなのです。プレゼンを理解してもらうためには、発表者はかなりの努力が必要です。 スティーブジョブズでさえ、イベントの3か月前から、練習していたと言われています。彼は照明や、発表資料などにもこだわりました。 それは、気持ち良く発表するためでもカッコつけるためでもありません。あくまで、聴衆の理解を促進するために、必要なことはすべてやるというスタンスでのことです。

「難しい」と認識すると前向きにプレゼンの対策を立てられる

good-1123013_1280 さて、難しいと認識することで、発表者に対しても良い影響があります。 どの種のビジネスに関しても、難易度が高い仕事には、相応の準備を練ることでしょう。また、その難易度を打倒するべく、様々なアイデアや方法を考え、前向きに考えるのではないでしょうか? 逆に簡単なものだと考えるとどうでしょうか。 準備はおろそかになり、提案が通らなければ「相手の理解力が低い」「こんなにも素晴らしい内容なのに、これを理解できない上司がいる会社なんて将来性が低い」など。いくらでも自分を守る言い訳ができてしまいます。 これは、提案以前の意識の問題です。プレゼンが実は難しいものだと認識するだけで、このチャレンジングな仕事に対する取り組みが変わります。 提案は通って当たり前のものではなく、通るために努力が必要な仕事だと認識するようにしましょう。

何を伝えるべきか理解しよう

相手にとってプレゼンを理解することは「難しい」ことだということは、今まで述べてきたとおりです。 しかし、自分にとっても実は難しいことです。 これは、先述したとおりの難しいと認識すること以外に、理由があります。 conflict-405744_1280

言いたいことは何か?

そんなことは、プレゼンを作っているのだから、自分ではわかっている、という声が聞こえてきそうですが、実はそうではない方が多いです。 最初から最後まで主張を一貫し、その結論まで聴衆を迷わせずに提案することができている人は少ないと思います。 この原因は、自分が主張すべき内容のシナリオを徹頭徹尾理解していないことが挙げられます。自分がわかってない内容を、相手に伝えるのは至難の技です。 「フェルマーの最終定理」の難しいところと、これが証明されると何がいいのか教えて欲しいと誰かに言われたところで、理解していなければ、伝えることはできないでしょう。 このような明らかに難しそうなことについては、わからないと言えますが、プレゼンのように自分で作ったものをちゃんと理解できていない箇所があると認めることは難しいでしょう。

無駄になったとしても、アウトプットする

soap-bubbles-1211087_1280 頭の中にある理論や論拠というのは、都合のいい形で重み付けされていきます。 「この理由があるから、この理論で大丈夫。」「このシナリオは完璧だ。」など、いくらでも都合のいい解釈をできてしまいます。 これを防ぐためにはまず、アウトプットしましょう。 プレゼン資料を作って、自分の主張したいことを可視化するのです。目に見えるということは強力に理解を手助けしてくれます。 私の知り合いのコンサルタントさんは、どんどん資料を作り、ためらいなく捨てていくということを繰り返して、プレゼン内容と資料を煮詰めていくようです。その方が言っていたのが、「アウトプットしないと、自分の言いたいことが正しいことかどうか客観視できない」ということでした。

そもそも、一人で作るべきではない

4318383709_a7bed23169_o おそらく、提案する場合には、その仕事を一人で回すということは稀ではないかと思います。少なくとも、その提案の聞いてくれる同僚やチームメンバーはいるはずです。 一人で作るよりも、他の人にまず聞いてもらった方が、本番までに対処しておくべき質問項目、自分が作ったプレゼン資料に対して、客観的で有意義な意見がもらえることでしょう。 最終的には提案を通すことが目的ですから、出来不出来で、自分の評価を気にするよりも、プロジェクトが成功するための行動を起こすようにしましょう。

まとめ

今回はプレゼン技術としてのノウハウを述べてはいませんが、現場のプレゼン作成には重要な事項をまとめました。プレゼン以外にも、すべての仕事に通じる本質的な部分をお話しできたかと思います。

  • プレゼンは難しい仕事として認識せよ
  • 前向きに困難を解決せよ
  • アウトプットを何度もせよ
  • アウトプットを客観視せよ
  • 同僚の意見をありがたく頂戴せよ

という5か条はどの仕事においても、使えるものですね。 また、努力して準備した仕事は、本番で伝える際には、情熱的に伝えることができると思います。内容以外に、熱意というノンバーバルな表現でも聴衆の受け取り方は変わってきます。次回以降はそう言った話もできればと思いますので、乞うご期待! といったところで、今回はこの辺で、筆を止めさせていただきます。


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